今日も飲まなきゃやってられない

人生の半分ぐらいを終えた女の仕事と日常

ナースのお仕事~暗黒編~

 

私と60歳の看護師の3年にもおよんだ冷戦の話をしよう。

 

4年前に個人が立ち上げた訪問看護ステーションに就職した私。

その時は気風の良いおばちゃん、歩く地縛霊のような60歳のおば…おばあちゃん

それから、30代の優しそうなパートの看護師さんの三人が既に働いていた。

始業二年目で、まだ仕事も少なかったけれど、ぼちぼち依頼が入ってきている状況だった。

 

ここで訪問看護って何かって話をするとですね。

いま、国の方針で、医療費削減のために病気を家で見ようっていう風潮になっている。

入院しちゃえばウン十万の医療費が使われちゃうから、高齢化社会の今なるだけ自己管理してもらって、元気で家にいる時間を増やそうっていうのが訪問看護の考え方。

少しの病気なら家で治せるし、医者の指示を貰っている看護師が家に行く事で、入院しないで済む、ようになるっていうお仕事。

で、最終的には病院のベッドじゃなくて、家で最期を迎えよう、っていう事。

 

確かに、死ぬ間際の人には治療できないし。

長らく入院していても、医療費ばっかりかかるし。何よりも、住み慣れた家で最期を迎える事ができるのは、私だったら嬉しいなと思う。

その為には乗り越えなきゃいけない大変な事とか、手続きとか、色々あって、それをサポートしたりもする。

 

訪問看護自体の知名度はまだまだ低くて、家で最期を迎えるっていうのも、ご家族としては恐怖感もあるので、これから、っていう分野ではある。

 

私は、とても良い仕事だと思う。

 

でも最初は、一人で知らない人の家に行くっていうのは医療者としても恐怖感があるのよね。色んなお宅があるし、実際トラブルだって起こる。

私の職場は、管理者……いわゆる婦長さん、のおばちゃんが頼りがいがあってとても良い人だった。口は悪いけど性根は良い人なんだろうな、ってすぐに分かった。

 

問題は地縛霊の方よ。

 

私が入職したときから問題はすでに始まっていて。

最初は美人な事務員のお姉さんが、ターゲットになっていたらしい。

 

よくある話なんだけれど、その地縛霊の方の半径数メートル付近には地雷原が広がっていて、どんなに地雷撤去のエキスパートでも大概地雷を踏んじゃうのよね。

しかも地雷が多岐にわたりすぎて、判別不能

地雷の中にはただ単純に、『看護師、若い、女』ってのもあるから、もうこれは回避不可能なのですよ。

 

入職時は必死だったから気づかなかったけど、大体数週間で「あれあれ?」ってなるわけね。

昼休みには事務のお姉さんが事務所からいなくなるとか。

優しいパートの先輩が、自宅に戻ってしまって、一緒に休憩を取ってくれない、とか。

 

事務所は狭かったけれど、人数も少なかったし、居場所はあるの。

でも、休憩時間を作るのを積極的に避けているような傾向があってね。

 

で、ある時気づく。

これは、やってるな、って。

 

そう。

虐めですよ。

 

最初は驚いた。

だって60歳の看護師が、30代の方を虐める?

いやいや、無いでしょ。60歳ってもう定年よ、次世代に後を託して第二の人生を迎える完成された年齢だとばかり思ってた。

でも、そうじゃなかったのよね。

 

まぁ、虐める虐める。徹底的に虐める。

それも他のスタッフが見てる前で、報告すれば「あぁ?」「それで?」「あっそう」

その方が書いた記録を読めば「できてない」「全然ダメ」「何これ」

管理者のおばちゃんに悪口を吹き込み、若い社長に猫なで声であの子は仕事ができないと言いまくり。

 

ドン引きですよ。

 

本当に仕事が未熟だと思うのなら、指導するのが年長者ってものでしょー

重箱の隅つつくように欠点をみつけてはやり玉にあげるとか、恥ずかしくもなくよくできるよねー

 

その時は私も入職したばかりで立場が弱いし、パートの看護師さんを心配しながらも、正直怯えていましたよ。

地縛霊の存在に。